塗装工事にも「スタンダードな金額」があるはず
よく塗装店のWEBサイトやホームセンター、家電量販店に張られている広告に格安?の塗装料金が表示
されているのを見かけます。その金額にビックリして「お得に塗り替えが出来る」と魅力的に感じる方も
多いと思います。ですが、どうもその表示の仕方に「数字のマジック」を感じるんですね。写真の広告は
某所にあった塗装の広告です。
1.外壁面積が100㎡
窯業サイディングを想定してると思いますが、確かにキリの良い数字で判りやすいです。ただ弊社も40
年以上お家を塗っていますが、一件の壁面積は少なくとも150㎡はある筈。壁の面積を覚えていない人
では、この金額で塗れると勘違いしてしまいそうです。壁の模様で若干の違いはあるでしょうが1.5倍
も面積の違うものを例として出すのは少々おこがましいかなぁと。これで
¥488,000→¥732,000
足場+外壁で考えてもかなり余裕のある金額。足場代はココに含まれているんですね。
2.木質部、鉄部、軒天、雨どいの塗装工事は別途お見積もりになります
仮設足場をわざわざ建てておいて上記の部分を塗らないというのは非常にもったいない話。前述した通り
足場だけで10万円以上のお金を払ってます。これらを次回に回すってことは足場代金を「丸めてポイ」
ってヤってるのと一緒です。
そして、家には沢山の鉄が使われています。雨戸戸袋、出窓、水切りなど「鉄部」と一緒くたに出来ない
ほど量があり、養生や下地調整など手間も掛かるものです。雨どいは初回は塗る必要はないので除きます
が、サッシの窓で30万円使うと仮定すれば
¥732,000+¥300,000=¥1,032,000
ありゃりゃコレで100万超えちゃいました。
3.屋根面積50㎡。※足場代工事別途
外壁で100㎡としたら屋根にしわ寄せが出たのでしょうか。例に出すなら100㎡でしょう。しかも、
屋根にも鉄は使われています。屋根の頂点のところを護る屋根棟や屋根のまわりの水切りがそうです。
¥168,000×2+¥50,000(鉄部の例)+¥150,000(足場)=¥536,000
ウワサの遮熱塗料が塗れちゃう金額になりました。
最後にここで申し上げたいのは、この広告にウソがあるとかでは有りません。このチラシだって実際に
施工される業者から受け取る諸経費や元請け本社の管理費、広告宣伝費を含めれば至極全うな金額だと
思われます。利益が無ければ慈善事業ですものね。ただこのマジックを演じなければ着目して頂けない
という「安い=正義」の現状が、この広告をねじ曲げてしまっている事が悲しいのです。
だから本来はこう表示するべきです。
外壁150㎡のお宅の塗り替えに ¥1,032,000
屋根100㎡の屋根の塗り替えに ¥536,000
一度に塗ったら足場分がお得になって ¥1,418,000
最後にちょっとだけ。仮にこの条件と仕様で塗装したなら、直接施工の弊社なら併せて20万はお安く
出来ると思います。チョット付け加えさせて頂きました(^^;
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