外壁塗装「幕板」の話。

外壁塗装幕板

「幕板(まくいた)」とは、一般住宅において、外壁の1階と2階を隔てている一枚板の部材の事です。今回は、塗装工事では意外と「難関」に陥りやすい「幕板」について、フカボリしていきます。

幕板の役割と材質

幕板の役割はメリハリのデザイン。

別名「化粧胴差し(けしょうどうさし)」ともいいますが、その名がしめす通り、幕板の役割は美観におおきく寄与するものです。1階と2階の仕上げが違うときに、両者を隔てる「幕板」があると見栄えが良くなります。

また、家の外壁では8割弱のシェアを占めるサイディングでは、デザイン面ではもちろん1枚単位の大きさに制限があるため、その継ぎ目をかくす意味でも便が良いものです。

外壁より劣化する幕板

劣化した幕板胴差し
外壁全体で受ける雨すべてが幕板を通るため、劣化が激しい
外壁全体で受ける雨すべてが幕板を通るため、劣化が激しい

幕板は1階と2階を隔てる場所にあるため、外壁からながれてくる雨水を一身に受け止めてしまいます。また、厚み部分に最後まで雨水が残るので、サイディングの幕板では外壁よりも水分塩分による浸食が激しくなります。

塗装「以外」の幕板修繕

上の写真のように幕板の劣化が著しく「塗装では対処出来ない」という事例もしばしばお見掛けします。それは見た目では判りにくいのですが、水分の浸透・揮発を繰り返したサイディングは、内部を構成するセメント質が流れ落ちてスポンジ状になっています。

このような幕板では、塗装してしまうと「ふくれ」等の異常が起きてしまうのです。上記の理由で塗装が難しい幕板を修繕するには、板金をかぶせて表面を保護してしまうか、物理的に必要ならば交換しても良いでしょう。一部でFRPを施工したという話も聞きましたが、費用対効果としては割高な気がします。

弊社の「幕板塗装」における工夫

幕板への工夫は右下です

弊社で幕板を塗装する際に気をつけているのは「雨水を効率よく流す」事。具体的には塗装のまえに、コーキングで幕板の天端に30°程度の「角度」をつけてやります。こうしてやる事で幕板に雨水が貯まるのを防ぎ、劣化のスピードを抑える事が出来ます。

まとめ

本来、幕板のように雨水が溜まるところには金属製の「水切(みずきり)」がついていて然りなのですが、弊社の経験上なぜか付いていないお宅様が大半です。建築の意匠の基本と思いますので、一部の建設業者さま。シッカリして下さい。