FRP防水床の「緩衝工法」
丈夫なことで知られるFRP防水床ですが、穴が空くことがマレにあるようです。その時はその道のプロである防水業者さんにお願いしています。
今回は防水屋さんの作業の備忘録として「FRP防水床の緩衝(かんしょう)工法」についてお話します。
既存の防水床に密着性などの問題がある場合に有効な補修方法です。
防水床の現状
写真のように、防水床面に小さく丸い穴が空いています。釘の浮きが防水床を突き破ったものと思われます。また、穴の周辺では床面を歩くとポコポコと動きます。
FRP防水層は通常、合板の下地と密着しているのですが、これが離れてしまっている状態。床としては異常事態です。
内部がどのようになっているかは床を切って開けてみないと判りません。
あとで膨れないように
まずはFRP防水槽を穴のまわりだけカットします。腐食した釘が見えてきました。釘のまわりの合板は水を含んで腐っています。
合板は2枚で24mmの厚がありましたが、その下にある1階の軒天が見えるほど。
内部が水を含んでいるので、のちのち湿気で床の膨れなどの異常が出ることの無いよう、今回は「緩衝工法」を採用する事になりました。
「緩衝工法」の手順
③床板を揃えた写真腐食した合板を全て取り除き、合板を支える「さん木」を補強したうえで新しい合板を2枚重ねて床面と揃えます。
元の床と段差が出ないよう整えたら、プライマーとシールで下地処理を施し「緩衝シート」を敷き詰めます。
緩衝シートは上方向にしか湿気を通さないので修繕工事に向いた材料です。この上にプライマーとFRP層を2層施工していきます。
脱気筒の取り付け
湿気を逃してやるには逃す口が必要です。そこでFRP層より先に「脱気筒」を取り付け、ここから積極的に湿気を逃します。ベランダを歩くのに邪魔にならないよう、皿状を採用しました。
防水層の施工
防水層を施工していきます。「FRP」で一番身近なのは、自動車の前後に付いている「バンパー」でしょうか。
まず密着するよう緩衝シートにプライマーを塗り、「樹脂、ガラスクロス、脱泡処理」がセットになった防水層を2層作ります。
最後にトップコートを2回塗って脱気筒にカバーを付けたら完成です。
まとめ
表面を防水層としているFRP、ウレタン、塩ビシート等の防水床は、防水層の本体を守るためのトップコートが塗られています。
これをメンテナンスしていくことで床は長持ちします。トップコートは塗装店で施工出来ますので外壁や屋根と一緒に塗っておきましょう。
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