塗装店が考える「雨仕舞い」(令和7年改訂)

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雨降りが続きます。個人的には、梅雨よりも今のような春先の時期の方が長雨の印象が強いです。

外壁屋根の塗装に携わっていると雨もりに付いてのご相談を多くお受けしますが、我が国の建築では、雨水は防ぐのではなく「流す」事で水や湿気を防いできたそうです。

今回はそんな雨への工夫「雨仕舞」について個人的見地も踏まえつつお話しします。これから家を新築・購入される方に「必ずお役に立つ」雨仕舞の考え方をお伝えできればと思います。

◯雨仕舞いとは。

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※以下引用元 日本文芸社 「眠れなくなるほど面白い図解建築の話」-

日本は雨の多い国です。建物は雨水を侵入させないことが重要でした。しかし、日本ではじめて屋上に防水材がつかわれたのは1905年と、比較的最近のことです。

それまでの長い間、大工や職人たちがさまざまな工夫を凝らしてきました。いわゆる 「雨仕舞」(あまじまい)と呼ばれる技術です。

防水と雨仕舞は似ていますが、同じものではありません。防水は建物のすき間を塞ぎ、水を防ぐことです。

しかし、雨仕舞はそれだけでなく、水を受けたり、導いたり、切ったり、汚れ防止に使うといった雨に対するさまざまな対策を含みます。-

◯水を受ける。

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雨仕舞いの考え方では水は多少入り込むものとしています。例えば瓦屋根には多少のすき間がありますが、屋根材の下には防水シートが張り巡らされており、たとえ雨水が侵入しても屋根の先端にある雨どいへと排水されます。

わずかに残った水分は屋根材のすき間から風で乾くので、建物内部へは水が入らないようになっています。

◯水を導く「鎧張り」外壁。

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鎧張りの外壁(下見板)

雨水が外壁にあたると下に流れていきます。その面が平らであれば下に流れ続け、例えば窓枠があると雨水がそこから侵入するリスクが高まります。

雨仕舞の考え方では水の流れを導くことで、壁から水を離す工夫があります。「鎧張り下見」といわれますが、板を下から上に重ねていく張り方です。

それぞれの板の先端が下に向いているので、各々の先端から雨水が落ちて、壁から離れていく工夫です。

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ラップサイディングの外壁

海外でもカリフォルニアスタイルの住まいには鎧張りとよく似たラップサイディングという張り方が採用されています。

◯水を切る。軒、ひさし、水切

外壁の一部に水の流れが集中すれば汚れも集中し、壁に汚れのスジが生まれます。壁や窓に雨を当てない工夫があります。

壁より出っ張った屋根の下。軒(のき)です。窓上にも小さな屋根、庇(ひさし)があります。それでも窓枠を伝う雨水は、窓下に配した水切(みずきり)を使って空中へ流します。

雨仕舞では、これらで壁から水を積極的に離すことで壁の汚れや雨もりを防いでいます。

◯まとめ

個人的に、我が国の歴史の中で培われてきた雨仕舞の文化は、新奇性を重視した昨今の住宅デザインでは大切にされて来なかった様にも感じます。

いずれも家を長持ちさせるための工夫ですので、家を建てるとき、選ぶときには「雨仕舞」を頭の片隅に入れておけば、いつか必ずお役に立つと思います。