R4改訂)業務日誌|軒天井が落っこちた。
仮設足場を組んで実際に塗装工事が始まると
家の状態を手で触れられるようになります。
高い場所においては、そこで初めて腐食などの
不具合が見つかる事もマレにあるのですが、
お見積時に家主様には予め可能性の
お話としてお話していても「まさかウチが」と
それはガッカリされます。今回は
実際にあった「軒天井が落っこちた」話です。
目次
〇予想外の感触
〇雨が天井裏にまわる仕組み
〇「水切」で良いはずなのに
〇まとめ
.〇予想外の感触
現場作業がはじまり、下地調整(ケレン)のために
軒天井に触れると「ブニ」と予想外の感触が。
驚きと共に、恐る恐る指で押してみると、
アッサリ指が貫通する始末。
家主様に軒天が浸水しており
グズグズに崩れている、とご報告した後に
大工さんに見て貰うことになりました。
.〇雨が天井裏にまわる仕組み
大工さんに「手づかみで」軒天井を落として
貰いました。湿ったダンボール位の硬さです。
中の仕組みを見せて頂いたところ
ハウスメーカーのしたい事が判ってきました。
「雨水がベランダの外壁を伝って
外壁を囲う「幕板」に当たらないよう、
雨水を幕板天端のすき間から
天井内を通して排水溝から出す。」
このような設計目的だと思います。ですが
実際には、軒天井に水が回っていたのです。
.〇「水切」で良いはずなのに
この「幕板」という建具は、確かに水が溜まり
やすく、早期に腐食する所ではあるのですが
上記のやり方は、現場の人間からすれば
「回りくどい」の一言で片付けられる話です。
壁の幕板の間にあらかじめ
「水切」という金属部が差し込まれてれば
水は普通に外に落ちてしまいます。
それを天井に回してあまつさえ軒天井を
腐食させていては元も子もありません。
.〇まとめ
建築の世界には古くから「現場合わせ」という
言葉もあるのですが、今回のことに関して
現場の人間は何も出来なかったのでしょうか。
設計者の思惑が伝わらなかったのでしょうか。
現場と設計間でのコミュニケーション不足が
根本的な原因じゃないかと思うのです。