われわれ塗装業者は、大工さんや他の職方さんと違って「形有るもの」を作りません。塗料は単体で「製
品」ではなく、「塗装の材料」のひとつです。我々がこの「材料」をお客さまのご自宅に塗装仕上げする
ことによって初めて「製品」となります。我々の製品は家の各箇所に合わせて下地を造り、処理を行い、
色を塗り分け、美観を造ると共に建物を保護するものです。ただ、このように丹精込めた製品も自然の環
境に置かれた時点で劣化が始まります。ですが管理するお客さまのお手入れ次第で、製品の寿命をさらに
延ばすことも出来るのです。
1.水を掛ける。
屋外環境には太陽の紫外線をはじめ、ホコリ,塩分,排気ガスなど、塗装を劣化させるものが多量に含ま
れています。経年するうちに塗膜自身も紫外線によって粉状に風化していきますが、ホコリや塩分もカビ
・コケを発生させて塗膜を浸食する一因です。これらを水で流しておくことでカビ・コケの発生が低減し
、浸食のスピードを抑えることが出来ます。
水を掛けるのは年に1,2回でOKです。水を掛ける方法としては普通のホースで十分ですが、ホームセ
ンターで売っている高圧洗浄機なら広範囲に水を掛けられます。掛ける際の注意としては「窓が開いてい
ないか確認すること」。当たり前に思われるかもしれませんが、トイレの小窓など「普段開け閉めしない
ところ」は意外と開いているものです。「ご近所へのお声がけ」もしておきましょう。うっかり洗濯物な
ど濡らしてしまったら大変です。
2.壁から植木を離す。
雨上がりに立ち上る湿気も外壁にカビ・コケを生やす一因です。植林や植木鉢は外壁には近づけ過ぎない
ようにしましょう。欲をいえば、外壁の直近に砂利などを敷き詰めるとなお良いでしょう。古い神社仏閣
などを見ると周囲一面に砂利が敷いてあります。砂利は周囲の水はけを良くし、立ち上る湿気の調整もし
てくれます。最近では歩くと音がする砂利もあり、防犯にも役立って一石二鳥です。
3.適切に出し入れする。
雨戸など日中しまっておける所は戸袋等にしまっておきましょう。太陽の紫外線を避けることで塗膜の劣
化を防ぐことができますし、夜は雨戸を出しておけばホコリが溜まることもありません。
最近見た何処かのテレビ番組で、商品を買ったお客様が店員に「大事にします」と言っていたのを見て感
動しました。我々の造った塗装も「丹精込めた製品」です。我々の製品も「大事にして頂きたい」との思
いで、この記事を書かせて頂きました。上記のような少しの工夫で2,3年でも塗装時期を延ばすことが
できれば、建物の一生のうち1回分の工事費用が浮くかも知れません。やる価値は十分あると思います。