いまや新築の8割近くを占めている窯業サイディング外壁。窯業サイディング外壁に限られたことなので
すが「壁のデザインが気に入ってたのに、塗り替えたら単色に塗りつぶされてしまうのが残念」という声
をよくお聞きします。新品時の模様というのは工場の精密な環境のなかでのみ可能な模様なので、直射日
光や外気などの環境に左右される現場では、同様の施工はいまのところ難しいというのが現状です。
現状の模様をクリア層でコーティングしようとしたのが日本ペイントの「UVプロテクトクリヤー」です
。セラミックもしくはフッ素樹脂の保護クリア塗料です。塗料の大敵である紫外線をカットするので10
年程度の耐候性があるようです。発売から10年以上経過しているので、品質には問題はないでしょう。
新築のままの模様が「ずっと」維持出来るのなら、こんな嬉しい事はないですよね。ただ残念なことに、
これを施工するには外壁の退色・変色が起きていないことが条件です。(築10年以内が目安)経年して
劣化した壁だと剥離するおそれがあるそうです。
経年を重ねた、もしくは一度塗りつぶしてしまった窯業サイディング外壁に模様をつけることは出来ない
か。というお客さまの要望で最近誕生したのがエスケー化研の「エスケープレミアムマルチカラー」で
す。単色での塗り替えとは異なり、多彩模様塗料ならではの深みのある色彩感豊かな壁面を演出するとの
こと。多彩模様塗料というのは以前からありましたが、全て吹き付け塗料だったので、塗料の飛散への注
意が必要でした。また塗膜が厚く重たいので、既存の塗膜への負担になっていました。この塗料は下塗り
、主材、クリアの三層に分かれていますが全て水性塗料です。従来の多彩模様塗料より所要量が少なくす
むので外壁への負担が軽く、ローラー施工が可能なので塗料は周囲へ飛散しにくいです。密着処理は下塗
りで行い、その上に塗った主材に対してクリア塗装を行うので、経年したサイディングにも十分に使用で
きます。
ただ最後に一点。これらのクリア塗料の耐候性は10年程度といいましたが、これを過ぎてしまったらど
うなるのか。10年以上経てば、クリア塗膜の紫外線を防ぐ機能も低下します。クリア塗膜が劣化した場
合は、ツヤが引けるとかではなく「剥離」が起きる可能性が高いです。つまりこれらの塗料では、塗装し
て10年程度が経ったら「忘れずに」塗り替える必要があります。「剥がれてから塗り替え」では間に合
わないのです。全体に劣化が進んだ壁は何を塗っても剥がれやすく、その後の維持管理が思いも寄らぬ高
額になる可能性があります。
こうやって書くとクリア塗装を敬遠したくなってしまいますが、1度塗り替えをしたら家の状態はまめに
チェックしておく、のはどんな塗料を使うにしろ必要な事です。塗装した年月日は、どこかに控えておく
等しておけば、必要以上に怖がることもありませんね。