塗装が密着しにくい「難粘着サイディングボード」と言われる外壁材があります。山本塗装ではまだ実際
にお目に掛かったことがありませんが、大手のハウスメーカーのオリジナル外壁によく見られる「フッ素
コート」「無機系(磁器のような表面)コート」「光触媒コート」が施工された窯業サイディング外壁のこ
とです。
いずれも築10年程度では新築時のツヤ感を保ったままという高耐候性を売りにしていました。窯業サイ
ディングは「セメントと繊維を高温で圧縮した材料」ですが、熱を溜め込みやすい(よって室内には熱を
伝えにくい)ので季節の寒暖によって伸び縮みするものです。
だからペンキ屋さんからすれば「塗装するときは”微弾性の塗料”でわざわざ塗ってるサイディングなのに
、そんな固い皮膜で覆っちゃって大丈夫なの?」と勝手に心配していました。そうして今現在、初期の一
部製品からですが「ひび割れ」「剥がれ」「クリア膜下の気泡」といった欠陥らしきものが出てきている
ようです。(いま現在の製品では改良が進められているようです)
上記の欠陥の例で見ると難粘着サイディングは「クリア層は必ずしも耐候性が良い物とは言えない」「壁
の伸び縮みに対応仕切れていない」「壁の内側からの湿気を逃がす事が苦手」という共通の特徴があると
思われます。なので塗膜に問題が出る前にやはり「塗装は必要」になるのですが、なにしろ難粘着サイデ
ィングです。普通のシーラーや微弾性フィラーでは2,3年程度で剥がれてしまいます。
そこで最近塗料メーカーが力を入れているのが、専用のシーラーです。密着しにくい事が難粘着サイディ
ングの一番の課題なので、これが解決できれば何よりも強い味方になります。しかしなにぶん非常に固い
ツルッとした外壁面に塗装するので、多少の経年劣化は必要なのかなと思われます。
塗り替え工事は、いままでの塗膜に新しい膜を密着させ、外壁材および旧塗膜を保護しかつ美観を高める
ものです。もしもご自宅が2001年以降の竣工で、10年以上経っても新築時から全く劣化していない
のなら、難粘着性サイディングの可能性が高いです。塗膜がダメになる前の早め早め。壁を塗りつぶすの
は寂しいかもしれませんが、家をキレイに保つ事は、家主様にしか出来ないことなんですから。