長いことアクリルシリコン塗料が塗り替え工事の定番と言われてきましたが「それに取って変わる新定番
」と噂されている新形態の塗料が出てきました。日本ペイントの「パーフェクト」シリーズを筆頭とする
「ラジカル制御形塗料」です。塗料はより強い皮膜をつくる「丈夫な樹脂」であることが長持ちする第一
条件ですが、ラジカル制御形塗料は「樹脂を劣化から護る技術」を使って長持ちさせる塗料です。水にな
じんで汚れを落とす「親水性」も兼ね備えているそうです。そんなに良いものなのでしょうか?
ちょっとこの先、話が難しくなりますが少々おつきあい下さい。
外壁に太陽の紫外線が当たると、白色の顔料である酸化チタンから発生・拡散する「ラジカル(化学用語
)」が樹脂の結合を壊してしまうのが「塗膜劣化の大きな要因」であるとの事。ラジカル制御というのは
研究室や工場では以前から知られていた技術なのだそうで、それを塗料に応用したのがこの「ラジカル制
御形塗料」なのでしょうね。ラジカルの発生を抑え封じ込める高耐候酸化チタンと、ラジカルを無害化さ
せる技術で塗料を長持ちさせるのだそうです。
発売された2012年の当時には、塗装業者には相手にされませんでした。やはり実績の無い塗料は、1
0年後どうなるのか判らないのでお客さまに勧められません。(メーカーが世に出てからの苦情をもとに
製品を修正なり廃盤にしてくる事は多々あります)そして日本ペイントの「パーフェクトトップ」の発売
から5年が経ち、各メーカーが同技術を使った水性塗料を発売してきました。「この事実」が新定番と噂
される理由です。
最後に。塗料の機能とは別の話ですが、いくら長持ちするとはいってもお客さまや近隣にお住まいの皆様
にとって「施工中のニオイ」はやっぱりストレスです。それが極力少なくて済むのが水性塗料の魅力。な
かには「バラの香り」のする塗料まであるんです。各メーカーが発売してきたことで競争が起き、お値段
も安定しつつあります。いよいよ溶剤フリーの時代が近づいてきたのかも知れません。我々職人にとって
もシンナーのニオイが無い作業環境は、やっぱり嬉しいんです。