お客さまからよく聞かれる事なのですが「ペンキって冬より夏に塗ったほうが良いんでしょ?」とか「冬
場の塗装って塗りにくいからシンナーで薄くしちゃうんでしょ?」といったご質問をよく受けます。ただ
でさえ一般のかたは関わることの少ない塗料のことですから、最近の塗料のことなんて知る機会はまず有
りませんよね。
今現在主流になっているシリコンやウレタン,フッ素といった塗料は「暑い寒い」で塗膜の品質が変わる
ことは極めて少なくなりました。簡単にいうと、乾きかたが昔とは違うのです。ペンキは「乾燥して」固
まり、シリコン等は「化学的に結合」して固まります。
むずかしい言い方をすると、昔のいわゆるペンキが「乾く」というのは、被塗物に塗ったときに溶剤成分
が蒸発し「乾燥」することで塗膜になる「蒸発酸化重合乾燥」と言われるもので、現在のシリコン等は主
材と硬化剤の2つを混ぜて初めて硬化する「蒸発重合乾燥」というものです。
上記でお察しのとおり、塗膜として丈夫なのは後者です。溶剤による希釈率も季節に関係なく5%~10
%(材料により変わります)なので、塗膜の厚みも安定しています。
また、エポキシさび止め塗料もシリコン等と同じ「蒸発重合乾燥」です。従来のさび止め塗料(俗に言う
赤さび)の塗膜の上にシリコン等を塗っていた当時、早期にはがれたり「シワ」が出来るといった異常が
時々見られました。
これは部分的に厚く付いたさび止め塗料の「内部」が乾燥しきれていないのが原因ということでした。「
内部」の乾燥というのは表面の状態では判別しにくいのです。
仕上げ塗料がシリコン等であったのも一因だったようです(当時、塗料メーカーは塗装可能と言っていま
したが)。シリコン等は乾燥時にほんの少し縮むので、密着したさび止めを引っ張ってしまうのが原因だ
とか。そこへいくとエポキシさび止めは乾燥方式が同じシリコン等とは相性が良いです。内部までしっか
り硬化しますし、塗膜の縮みにも耐えることが出来る塗膜の強さを持っています。
ひと昔まえに山本塗装がペンキを使っていた当時は、塗膜を厚くするために4回くらい塗っていたのを思
い出します。つねに屋外に晒されている住宅塗装の環境ですから、季節に関わらず「同じ品質で塗装でき
る」というのは必須の性能じゃないかな?って思います。