あけましておめでとう御座います。今年も皆さまのお役に立つ情報をツラツラと書き連ねてまいりますの
で、弊社ブログをどうかよろしくお願い申し上げます。新年早々文句っぽいことを書くのは筆者の性格が
出ている気がしますが(笑)。ちまたでは「自由設計」と称して「暮らしやすさ」を重視した住宅がもて
はやされていますが、日本の古来からの経験によって蓄積されてきた住宅の構造や機能が軽視されている
ような気がします。
日本の住宅で特に重要な機構に「軒(のき)や庇(ひさし)」があります。これらは共に外壁から外側に
飛び出している部分ですが、高温多湿の日本では雨や露などから窓サッシや雨戸戸袋、シャッター等の開
口部を護っている大事な機能を持ったところです。ですが最近の住宅では、室内の面積を大きくとるため
に省かれてしまっていることが多いです。
庇の無い建具の上端には雨水・夜露やホコリが溜まりやすく、特に窯業サイディング製の外壁では夜露に
よる壁の汚れや水の浸入による外壁の腐食の原因になっています。窯業サイディングは経年劣化で塗装が
風化すると、水をよく吸い込むようになります。水分を吸い込むとサイディング内のセメント質は雨と一
緒に流れ出してしまい、スポンジ状になって壁ごと崩壊してしまうのです。
軒も雨から建物を護っている大事な機構です。年数を経ればどんな屋根でも先端部分から劣化していきま
すが、そんな時にも軒があれば被害は軒の交換だけで済みます。ですが、軒が無い住宅ではその被害は直
接室内におよんでしまうのです。常に屋外の事象にも目を配ることが出来れば上記の様なことも起きない
でしょうが、現実問題として難しいのではないでしょうか。
目に見える故障が起きたときにその部分だけを交換すればよいという機構は、日本の住宅に古くから備わ
っていたものです。これから家を新築される方や増改築をお考えの皆さまにおかれましては、周囲に建て
られた住宅を観察してみると、これから建てる家に必要な機構や構造が見えてくるかも知れません。