銅板の瓦棒屋根に
小さな「穴」が、点々と空いていました。
屋根材の下の防水シートのおかげで
幸いにも雨漏りには至らなかったのですが
木製の軒天井は腐ってしまいました。
銅板の屋根はご存じの通り、神社仏閣など
永年性を要求される建物で採用される
確かな素材ですが、
どうも特定の条件により穴が空くようです。
今回はその原因となるものを確認すると共に
今回の「穴」がどれに
類するのか探ってみたいと思います。
目次
〇「穴」の状況
〇酸性雨のせい?
〇瓦屋根の釉薬のせい?
〇何らかの衝撃のせい?
〇まとめ
.〇穴の状況
「穴」が見つかったのは2カ所。
1カ所めは、瓦屋根からの雨水を
銅板屋根で直接受け止めていた箇所です。
「穴」以外のところは「緑青」と
呼ばれる銅板特有の酸化皮膜で
きれいに覆われていました。
.〇酸性雨のせい?
(平成9~11年度)によれば
緑青の酸化皮膜は酸性雨程度のphでは
影響は認められなかったそうです。
つまり「酸性雨のせいではありません。」
.〇瓦屋根の釉薬のせい?
瓦屋根から続くところで
銅板に穴が空くことが多いことから
「瓦屋根の釉薬(ゆうやく)が原因では?」
という説があるようですが
釉薬瓦は高温で焼成されているので
雨で釉薬の成分が溶出する事はありません。
.〇何らかの衝撃のせい?
銅板は柔らかいので
連続する衝撃には弱いようですね。
全体が銅板屋根のところではなく
瓦屋根の続きとして銅板が葺いてあるような
ところ(屋根の「谷」も含む)では
屋根を守るはずの緑青も
連続する水流によって摩耗してしまい
ついには経年によって穴が空くようです。
.〇まとめ
銅板屋根はカラーステンレスに交換します。
丈夫な素材なので腐食の心配はありません。
(※美観の劣化による塗装は必要です)
ところで「穴は2カ所」と書きました。
2つめの「穴」はなんと屋根の下のひさし。
上記のことでは説明できない箇所です。
ですがなんのことはない、劣化した庇に
乗って作業した事で、板がちぎれたのです。
交換するには大袈裟な場所でしたので
コーキングで塞ぎました。
外壁とともに塗装してしまうので
キレイに仕上がります。
瓦屋根と銅板を併用されているお宅さまでは
安心のためにも「10年に一度」程度の
定期的な点検が必要なようです。